転職Doc / 採用企業・紹介会社の方へ / 施設介護 / 介護の人材紹介の手数料は高いのか|3つの物差し
介護の人材紹介の手数料は高いのか|3つの物差し
介護施設の採用担当者から、人材紹介の手数料は高いのではという声を聞きます。転職Docは、この問いに厚生労働省「人材サービス総合サイト」の公開データで答えます。施設介護の手数料実績率は事業主134社の中央値で20.3%、全職種を合わせた中央値27.0%より低い帯にあります。この記事では、介護分野の料率が実際にどの帯にあるか、料率が低くても負担感が残る理由、そして料率・返戻金・定着率という3つの物差しで適正かどうかを確認する方法を示します。
介護施設向け人材紹介の手数料は、他職種と比べて高いのか
高くありません。転職Doc編集部が2026年9月19日に取得した集計では、介護3職種の手数料実績率はいずれも全職種の中央値27.0%より低い帯にあります。営業・建築土木のような技術・営業系職種と比べると、10ポイント前後低い水準です。
| 職種 | 料率公開 事業主数 | 中央値 | 平均 | P25 | P75 | |---|---|---|---|---|---| | 施設介護の職業 | 134 | 20.3% | 20.0% | 18.0% | 25.0% | | 福祉・介護の専門的職業 | 59 | 23.5% | 23.7% | 20.0% | 30.0% | | 訪問介護の職業 | 28 | 22.1% | 23.2% | 20.0% | 30.0% | | 全職種(738事業主・1,042件) | 738 | 27.0% | 27.0% | ー | ー | | 営業の職業 | 257 | 32.6% | 31.4% | 27.0% | 35.0% | | 建築・土木・測量技術者 | 106 | 32.8% | 31.6% | 26.0% | 36.2% |
出典: 厚生労働省「人材サービス総合サイト」2026年9月19日取得、編集部集計(取扱職種12コード×47都道府県、事業主1,011件)。訪問介護は事業主28件で、施設介護(134件)より標本が少なく、帯の幅にばらつきが出やすい点に留意してください。
料率だけを見ると、介護は「高い」とは言えない帯にあります。それでも採用担当者に高いという印象が残る理由を、次の見出しで料率と絶対額の関係から整理します。
料率が低くても「高い」と感じるのはなぜか
手数料の絶対額は「理論年収×料率」で決まるためです。理論年収が同じなら、介護の料率20.3%は営業の32.6%より支払額が小さくなります。ただし、絶対額が採用予算全体に占める比率で見ると、印象が変わることがあります。
仮定の年収で計算するとどうなるか
理論年収を300万円・350万円・400万円と仮定し、介護3職種の中央値をかけると次の金額になります。実在する契約の金額ではなく、料率の重さを比較するための仮定の計算です。
| 理論年収(仮定) | 施設介護 20.3% | 福祉・介護専門 23.5% | 訪問介護 22.1% | |---|---|---|---| | 300万円 | 60.9万円 | 70.5万円 | 66.3万円 | | 350万円 | 71.1万円 | 82.3万円 | 77.4万円 | | 400万円 | 81.2万円 | 94.0万円 | 88.4万円 |
理論年収350万円の職員を1名採用した場合、施設介護の中央値20.3%では71.1万円です。同じ350万円で全職種の中央値27.0%を仮定すると94.5万円になり、料率10ポイント台の差だけで20万円以上の差が生まれます。理論年収の定義と計算式は「成功報酬の計算方法」で詳しく解説しています。
予算全体に対する比率でも確認する
介護施設の採用予算は、募集人数や施設規模によって単価の目安が施設ごとに異なります。同じ71万円という金額でも、年間の採用予算に対する比率が小さい施設と大きい施設では、負担感の受け止め方が変わります。料率が相場の帯の中にあるかを確認したうえで、絶対額を自施設の年間採用予算と比べる、という2段階の確認が必要です。
介護施設が確認すべき「適正の物差し」は何か
料率・返戻金・定着率の3つです。料率が相場の帯の中にあるかだけでなく、早期離職時の返戻金と定着率も併せて確認すると、契約の適正さを多角的に判断できます。
物差し① 料率は実測の帯の中にあるか
依頼する職種の中央値・P25・P75の帯と、契約書に示された料率を見比べます。施設介護なら18.0〜25.0%、福祉・介護の専門的職業なら20.0〜30.0%が実測の帯です。職種全体の相場と各社の料率の関係は「人材紹介の手数料相場」にまとめています。
物差し② 返戻金は6か月以内離職を対象にしているか
返戻金制度は、早期退職時に手数料の一部が戻る仕組みです。厚生労働省の「医療・介護・保育分野における適正な有料職業紹介事業者の認定制度」は令和6年度から認定基準を見直し、「求職者が就職後6か月以内に離職した場合の返戻金制度を設けていること」を必須基準に加えました。医療・介護・保育の3分野が対象で、対象期間が3か月までしかない契約は、この基準に沿わない可能性があります。条項の確認点は「返戻金制度」で整理しています。
物差し③ 定着率(6か月以内離職率)はどう見るか
人材サービス総合サイトの6か月以内離職者数を使って確認します。ただし、就職者数・離職者数は事業主単位・全職種合計の値で掲載されており、職種別には分解できません。介護職だけの離職率として算出することはできない、という制約を踏まえて見る必要があります。事業主単位の全国集計と調べ方は「定着率(6か月以内離職率)の調べ方」で解説しています。
介護分野に手数料の届出・公表について追加の決まりはあるか
追加の手数料規制はなく、全職種共通のルールが適用されます。2025年4月1日施行の省令改正により、有料職業紹介事業者は取扱職種ごとの手数料実績を人材サービス総合サイトに公表する義務を負いました。この義務は全職種に共通で、介護分野も対象です。
医療・介護・保育の3分野に固有の制度は、前の見出しで触れた返戻金の認定基準(令和6年度改定)です。手数料の届出・公表そのものについて、介護分野だけを対象にした追加の通知は、編集部が2026年9月20日に厚生労働省の公開資料を確認した範囲では見つかりませんでした。今後の改正があれば本記事を更新します。医療機関向けの確認点は「医療機関の人材紹介ガイド」でも整理しています。
依頼前に何を確認すればいいのか
介護施設が契約前に確認する項目は次の5つです。
- 依頼する職種(施設介護・福祉介護専門・訪問介護のどれか)の実測の帯と、契約書の料率を見比べる
- 理論年収に含める項目(諸手当・入社時賞与など)を書面で確認する
- 返戻金の対象期間が6か月以内かどうかを確認する
- 契約書の返戻金条項の期間区分と返戻率を確認する
- 手数料実績率と返戻金制度の有無を、人材サービス総合サイトで契約前にも確認する
料率が相場の帯にあることを確認できても、返戻金の対象期間が短い契約では、早期離職時の実質コストが変わります。3つの物差しを個別に見て、契約書の内容と合わせて判断してください。
よくある質問
Q. 介護施設向け人材紹介の手数料率は、全体の相場と比べて高いか A. 高くありません。厚生労働省「人材サービス総合サイト」の集計では、施設介護の手数料実績率の中央値は20.3%で、全職種を合わせた中央値27.0%より低い帯にあります(2026年9月19日取得、編集部集計)。
Q. 料率が低いのに「高い」と感じるのはなぜか A. 料率は対象になる年収にかける割合なので、年収が低いほど絶対額も下がります。ただし採用予算全体に対する比率で見ると印象が変わることがあるため、率だけで判断せず金額換算も確認することをすすめます。
Q. 介護分野には手数料の届出・公表について特有の決まりがあるか A. 職種別の手数料実績を公表する義務は2025年4月から全職種に課され、介護分野も対象です。医療・介護・保育の3分野に固有の制度は、6か月以内離職を対象にした返戻金制度に関する認定基準であり、手数料の届出・公表そのものに介護特有の追加通知は確認できませんでした(2026年9月20日確認)。
Q. 介護施設向けの定着率(6か月以内離職率)は職種別に調べられるか A. 調べられません。人材サービス総合サイトの就職者数・6か月以内離職者数は事業主単位・全職種合計の値で、職種別には分解できません。職種別に比較できるのは手数料実績率だけです。
まとめ
介護施設向け人材紹介の手数料実績率は、施設介護で中央値20.3%、福祉・介護の専門的職業で23.5%、訪問介護で22.1%と、いずれも全職種の中央値27.0%より低い帯にあります。それでも負担感が残る場合は、絶対額を自施設の採用予算と比べる視点が役立ちます。転職Docは、料率・返戻金・定着率という3つの物差しをすべて確認したうえで契約を判断することをすすめます。