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人材紹介の返戻金とは|早期退職時の返金率と契約の注意点
紹介した人材が入社1か月で辞めたら、支払った紹介手数料はどうなるのでしょうか。答えは、事業者が「返戻金制度」を設けているかどうかで決まります。職業安定法は有料職業紹介事業者に制度の有無と内容の開示を義務づけていますが、制度の導入自体は任意です。この記事では、開示義務の法的根拠、編集部が公開データで確認した返金率の実例、契約書で見るべき条項を出典つきで整理します。転職Docは、この3点を比較の物差しとして使うことを勧めています。
返戻金制度とは何か
返戻金制度とは、紹介した人材が入社後短期間で退職した場合に、人材紹介会社が受け取った紹介手数料の一部を求人企業へ返還する制度です。「返金規定」「返還金制度」とも呼ばれます。
対象になる退職理由は自己都合退職が中心で、事業者によっては求職者の責めに帰す懲戒解雇も対象に含めます。在籍期間が長くなるほど返金率は下がり、一定期間を超えると返金はゼロになる設計が多くなっています。編集部が確認した3社の開示例は、いずれも在籍期間を1か月・3か月の2段階で区切っていました。
返戻金制度は法律で義務付けられているのか
制度の「導入」自体は義務ではありません。義務なのは「開示」です。職業安定法第32条の16第3項は、有料職業紹介事業者に対し、就職者数、期間の定めのない労働契約を締結した者のうち離職した者の数、手数料に関する事項その他厚生労働省令で定める事項の情報提供を求めています。
厚生労働省令に基づき、この「その他の事項」に返戻金制度の有無と内容が含まれます。2018年1月の職業安定法改正施行以降、厚生労働省「人材サービス総合サイト」への掲載が義務化されました。制度を設けていない事業者も、「設けていない」旨を同サイトに明示する必要があります。サイトでの具体的な確認手順は、人材サービス総合サイトの見方にまとめています。
返戻金の相場はどのくらいか
編集部が2026年9月19日に確認した限り、返金率を具体的な数値で自社の公式サイトに公開している大手紹介会社は多くありません。JAC Recruitmentは公式サイトの手数料ページで、入社後3か月以内の自己都合退職に対し紹介手数料の50%を返金すると明記しています。マイナビ、doda人材紹介、パソナは、返金の存在には触れるものの具体的な料率は契約時の個別説明としており、公式サイト上では非公開でした。
一方、人材サービス総合サイトには事業所ごとの「返戻金に関する事項」PDFが個別に掲載されており、ここでは実際の料率を確認できます。アポプラスキャリア株式会社は、入社1か月以内の退職で返還率80%、1か月超3か月以内で50%と開示しています。sincereed株式会社は、1か月以内100%、1か月超3か月以内70%と、やや手厚い設定です。
| 事業者 | 対象期間・返金率 | 出典(確認日) | |---|---|---| | JAC Recruitment | 3か月以内、自己都合退職で一律50% | 公式サイト(2026-09-19) | | アポプラスキャリア株式会社 | 1か月以内80%/1〜3か月以内50% | 人材サービス総合サイト開示PDF(同) | | sincereed株式会社 | 1か月以内100%/1〜3か月以内70% | 人材サービス総合サイト開示PDF(同) | | マイナビ・doda・パソナ | 制度はあるが料率は非公開 | 各社公式サイト(同) |
3社の開示を並べると、保証期間を3か月とし、期間を2段階に区切って返金率を下げる設計が共通点として見えます。人材紹介の手数料相場も合わせて確認すると、返戻金と手数料の関係が把握しやすくなります。
返戻金は必ず全額戻ってくるのか
戻らないケースがあります。編集部が確認した3社の開示内容に共通するのは、対象を自己都合退職に限定し、求人企業側の法令違反が理由の退職を除外している点です。アポプラスキャリア株式会社の開示では、紹介予定派遣を経由した入社は制度の対象外とされています。
返戻金は保険ではなく、事業者ごとに条件が細かく設定された契約条項の一部と捉えたほうが実態に近いといえます。成功報酬の計算方法を先に確認し、返金対象となる手数料の元の金額を把握しておくと、条件を読むときに数字がつかみやすくなります。
契約書で確認すべき返戻金条項のポイントは
契約を結ぶ前に、返戻金条項で次の5点を確認します。
- 保証期間(何か月まで対象か)
- 期間ごとの返金率(1段階か、複数段階か)
- 対象になる退職理由(自己都合のみか、懲戒解雇を含むか)
- 除外条件(紹介予定派遣経由の入社、求人者側の法令違反など)
- 返金の請求手続き(書面が必要か、口頭合意で足りるか)
転職Docの契約書チェックリストでは、この5点に加えて直接雇用禁止条項も含めて確認項目にしています。
医療・介護・保育分野で何が変わったか
2023年6月16日閣議決定の「規制改革実施計画」を受け、厚生労働省の「医療・介護・保育分野における適正な有料職業紹介事業者の認定制度」は令和6年度から認定基準を見直しました。
令和5年度までの必須基準は「返戻金制度を設け、具体的内容を明示していること」でした。令和6年度からは対象を明確化し、「求職者が就職後6か月以内に離職した場合の返戻金制度を設けていること」が必須基準になりました。基本基準にも、紹介手数料に加えて返戻金の設定方法について求人者へ説明責任を果たすことが追加されました。
この認定基準は医療・介護・保育の3分野が対象で、他分野の紹介会社には適用されません。ただし、業界全体で返戻金の対象期間を6か月に延ばす方向性を示す動きとして、他分野の求人企業も知っておく価値があります。定着率(6か月以内離職率)の調べ方を合わせて見ると、6か月という期間の意味がつかみやすくなります。
返戻金制度がない紹介会社をどう見分けるか
人材サービス総合サイトで事業所名を検索すると、返戻金制度の有無を含む開示情報を確認できます。「制度なし」と開示している場合は違法ではありませんが、早期退職時の費用負担が採用企業側にすべて残ります。
契約前に、対象の紹介会社が人材サービス総合サイトでどう開示しているかを確認し、開示内容と営業担当の説明が一致しているかを照合するとよいです。転職Docでは、開示データと契約条項を突き合わせて比較する方法を各記事で扱っています。
よくある質問
Q. 返戻金制度は法律で必ず設けなければならないか 制度の導入自体は任意です。義務があるのは開示のほうで、有料職業紹介事業者は職業安定法第32条の16第3項に基づき、返戻金制度の有無と内容を人材サービス総合サイトで公表する必要があります。制度がない場合も「設けていない」旨を明示します。
Q. 返戻金の返金率の相場はどのくらいか 編集部が2026年9月19日に確認した開示例では、入社1か月以内の退職で50〜100%、1か月超3か月以内の退職で50〜70%という設定が目立ちました。JAC Recruitmentは3か月以内一律50%と公式サイトに明記しています。
Q. 懲戒解雇の場合も返戻金の対象になるか 事業者によって異なります。アポプラスキャリア株式会社の開示例は自己都合退職に加え、求職者の責めに帰す懲戒解雇も対象に含めています。一方、求人企業側の法令違反が理由の退職は対象外とする例もあります。
Q. 返戻金制度がない紹介会社と契約しても問題ないか 制度がないこと自体は違法ではありません。ただし早期退職時の費用負担はすべて求人企業側に残るため、人材サービス総合サイトで開示内容を確認したうえで契約するかどうかを判断したほうがよいです。
Q. 2026年時点で返戻金の制度に変更の動きはあるか 医療・介護・保育分野を対象にした「適正な有料職業紹介事業者の認定制度」は、令和6年度から認定基準を見直しました。就職後6か月以内の離職を対象にした返戻金制度の保有が、必須基準として明記されています。
まとめ
返戻金制度の「導入」は任意ですが、「開示」は職業安定法第32条の16第3項で義務化されています。編集部が確認した開示例では、入社1か月以内50〜100%、1〜3か月以内50〜70%という返金率が目立ち、対象期間を3か月とする設計が共通していました。令和6年度からは医療・介護・保育分野で「6か月以内離職」を対象にした返戻金制度の保有が必須基準に追加され、対象期間を延ばす動きも出てきています。
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